ハンドメイド、作品と見るか、図画工作と見るか Ⅰ

 8月に入ってからは、コロナ禍というより暑さを避けるために、ほとんどの時間を家で過ごすことが多いのですが、テレビはめっきり観なくなりました。いえ、家のテレビは点いてるんですけどね。番組はあんまり観てないですね。
じゃあ何を観ているのかというと、録画したドラマを観てるか、あるいは今はYouTubeです。一応観るチャンネルの傾向があって、音楽PV、コスメチャンネル、それに個人的な趣味の手芸関係でしょうか。

この手芸なんですけど、こう見えてもうかれこれン十年続けている趣味です。一番長いのはパッチワークキルトでしょうか。その他にも編み物や刺繍なんかも取り組んでいます。使いもしない専用の道具もいろいろ買っちゃうんですよね。

 こういった何かを手作りすることを「ハンドメイド」といいます。既製品である「レディメイド」に対した言葉っぽいです。

 ファッション業界では2000年ごろから急速に増えてきたファストファッションという、「安くて着回しのきく、消費を前提とした服飾」などの製品が流行し出したんですが、その反動からなのか、2008年のリーマンショック後から急速にハンドメイドの市場が伸びてきました。

ユニクロなんかではよくあるんですが、
「あ。あの人おんなじダウン着とる・・」
というのが嫌な人が一定数いるんですね。そういう人たちがこぞって「オンリーワン」に飛びつきます。
とはいえリーマンショック後、若い人たちが出せるお金はバブル期のようにはいかず限界があります。高いブランド品でマウントを獲るような戦いは21世紀においては不毛なのです。

 そこでどうしたのかというと、彼ら彼女らが目をつけたオンリーワンが「ハンドメイド」です。

ひと口にハンドメイドといってもその中身は多岐にわたります。

要は「手作り品」ですので、アクセサリー、編み物、縫い物、木工品などのインテリア関係、陶磁器など。いまではありとあらゆる手作り品が手に入ります。

 『オンリーワンを入手したい人たちは自分が欲しいと思うものを手作りしている』のか、というと必ずしもそうではありません。人には向き不向きがあります(確実に)。。。
オンリーワンが欲しいからと言って、不向きな人がハンドメイドに手を出しても小学校の図画工作レベルがいいところです。

しかし、世の中には向いている人も多くいるのです。
こうして「私作る人、僕買う人」という住み分けがなされます。ハンドメイド作家が作ったものを買えるという市場が形成されます。

これはひと昔前まで、フリーマーケットや専門の店舗での専売がほとんどでした(今でも最大の売上規模は店舗販売)。しかしインターネットの普及とともに「売り方」は大きく変容してきています。

 ネット販売での黎明期はヤフオクに代表されるオークションサイトで、個人で製作したハンドメイド製品を個人が売る、という方法が確立しました。
検索もまあまあきくので、数ある出品から欲しいアクセサリーやお目当てのファブリックなどを探すこともできました。

ところが、これは私も経験があるのですが、オークションサイトは出品者と落札者との間での直接の交渉になるので、うまくいかないことも多いのですよ。世の中いろんな人もいますので。金銭的なトラブルだったり、そこまではいかなくともやり取りでそれなりのストレスがかかることもあります。

 そこで登場したのが「minne」や「Creema」などのハンドメイドに特化した通販サイトです(ハンドメイドマーケットプレイスと呼ぶ)。これは楽天などと同じネット出店ですので、サイトが仲介して金銭のやり取りができます。なのでApplePayなどのキャッシュレス決済なんかにも対応しています。
買いやすい!のですが、もちろんその分、サイトには手数料が取られます。

 こうした「ハンドメイドEC市場」は急拡大し、似たようなサイトも乱立し始めています。ハンドメイドの市場自体は、日本ホビー協会発行の「ホビー白書」によると、2014年で8,900億円程度、2018年で8,600億円程度と微減しています。
ハンドメイド用部材販売の最大手、「藤久」では売上が2013年から2017年までに200億円程度で少しずつ減っています。それ以上に利益に関しては減少幅が大きく、2017年にはついに経常利益がマイナスになっています。赤字ですね。ちなみに藤久は「クラフトハートトーカイ」という店舗を展開している会社です。

 ま、こういった販売に対する敷居が低くなったこと、また景気の低迷や労働時間の減少などから、手すきの時間に手作り品を製作して販売しようという意欲は高まっています。おこずかい程度でもなれば嬉しいですね!

 ところがところが、現在は右肩上がりの時代とは異なります。作れば売れるというものではありません。購買者はオンリーワンを求めています。売れるにはそれなりの条件というものがあります。簡単にまとめると以下の3つ。

  1. オリジナリティのあるデザインと高い製作クォリティ
  2. 商品の良さをアピールできる高品質な商品画像
  3. ネット販売上で発生する購買者との丁寧でスピーディなコミュニケーション

もちろんこれは、ハンドメイド市場に限らずどんなマーケットでも必要なことではあります。
1.はもう当然ですよね。いいもの作らないとまずは売れません。
2.なんかも重要で、どんないい商品でも写真がショボいと反応すらしてもらえません。購買者がネットで商品(の写真)を見るのはコンマ何秒とかの時間です。一瞬で「あ。いいな」と思わせなければなりません。
3.も、ハンドメイド作家としてものを作るといっても、販売する以上はサービス業ですからね。購入者と丁寧なやり取りや連絡が大切です。ECサイトにはそういった連絡用のメッセージ機能がついているものも多いです。活用しましょう。返信などのスピードも重要ですよ。

 ハンドメイドでは「商品ではなく作品である」(minne)という考え方もあり、ハンドメイドの作品を作るのは「作家」であるというスタンスが確立してきています。努力次第で誰もが作家になれる時代が到来しつつあるのです。

 ですが、作って売るということは、一人で製造・販売・宣伝・サービスを行うということです。それらを分業するのが一般的な会社ということになりますが、それは敷居が高い。個人でできることを個人で完結して個人で儲ける。そんな時代は目の前です。稼ぐ作家は年商で1,000万円を軽く超えるそうですよ!

 何かをその手で作れるということはとても大きな宝ものです。太古の昔から人間は何かを作っては他のものと交換したり売ったりしていました。それには長い距離を歩いて移動したり、作ること以外の困難が多く待ち受けていたのです。
それがインターネットの発展によって、スマホひとつで簡単に売買が可能になりました。ハンドメイドに革命が起きようとしています。



じゃあ私も何か作ってちゃちゃっと売っちゃおうかなー。。。

いやいや。ちょっと待って。作るのはいいけれど、それは「売ってもよい」ものなの?

長くなりました。「売ってもよいもの・ダメなもの」はハンドメイドには付きまとう問題です。次回はこの、「ハンドメイドの著作権」について書きたいと思います。

それではみなさま、ごきげんようさようなら。

栃木県よろず支援拠点 スタッフ 鳥井