巣ごもりするなら、ファンタジーを楽しもう!勝手に選んでみました、日本の三大ファンタジー小説

1.「ファンタジー」といえば!なんといってもファイナルファンタジー

 さて、年明けも間もない1/14から、栃木県でも新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が発令されました。またまたステイホームのお時間がやって来てしまいましたね。よろず支援拠点でもコーディネーターやスタッフのテレワーク化など、電話やオンライン相談などの対策を迅速に進めています。

 一方でプライベートではさっさと巣ごもりを始めております。寒い冬場はどこにも出かけずに、こたつに蜜柑でゲームをするのが至福でございます。確か11月頃に書いた漫画のブログでも同じことを言っていましたね。
【MANGA無差別級2020~ステイホームの過ごし方、冬のこたつで漫画三昧~】はこちら→https://tochigi-yorozu.go.jp/wp/staff_blog/mangamusabetukyu2020/

 元来、一人遊びが好きな私としては、流行りに流行っている「フォートナイト」のようなネットでの共同プレイを重視する昨今の風潮には「否」を唱えておりまして、一人黙々とテレビに向かってプレイするのが正義。2年ほど前にプレイを終えた「ファイナルファンタジーXV」(以下FF15)を引っ張り出し、アタマからもう一度プレイするという愚直な行為に取り組んでいます。

FF15のアルティマニアで完全攻略中

好きなんですよねFF15。FFには名作数あれど、FF15はセールスの不振や内容への批判なんかが多かったんですが、個人的には好きな作品です。もちろんストーリーの展開なんかには不満もあるんですが、総じて気に入っています。ファイナルファンタジーのようなRPGはもはや日本のお家芸みたいなものですよね。私はこの分野のゲームが大好きです。個人的には「ファイナルファンタジー」シリーズ、「ファイヤーエムブレム」シリーズが特に気に入っています。
この2つに限らず、RPGはファンタジーをベースにしたものが多くて、世界観としてはほぼ洋風です。中世ヨーロッパ風というか。

 そもそもRPGの基礎となったファンタジー文学が外国の発祥なのでそうなってるんでしょうか。「指輪物語」や「ゲド戦記」、近いところでは「ハリーポッター」など。有名なファンタジー小説家はほとんどが外国人といっても過言ではありません。

 しかし、しかしですよ。日本人作家のファンタジー小説に佳作がないのかと言えばそんなことはありません。世にこれだけRPGを輩出している我が日本。ファンタジーの名作もたくさんあります。
その中でも個人的に「これっ!」と太鼓判を押すものを三作品ご紹介しましょう。

2.田中芳樹「アルスラーン戦記」は漫画もおすすめ!

 まずは田中芳樹の「アルスラーン戦記」から。先年長かったシリーズが完結しました。
中世ペルシアをモチーフにした架空の国「パルス」を舞台に、王太子アルスラーンを主人公として、隣国ルシタニアに滅ぼされた自国を取り戻す物語、全16巻。
「アルスラーン戦記」はファンタジー小説とはいえ、あまり魔法だのモンスターだのが出てこなくて(少しは出ます)、主に国と国との陰謀や大規模会戦の描写に力点が注がれています。田中芳樹と言えば「銀河英雄伝説」の作者で、こちらも戦術や戦略の妙を描いた作品ですね。同じように「アルスラーン戦記」でも戦闘における心理戦や、政治・治世の正しさとはといった社会学的な問題をテーマにしています。

 第1巻の「王都炎上」が出版されたときは中学生だったか高校生だったか…。いややめましょう。とにかく筆が遅い作家で、完結まで実に30年近くかかっています。ファンの間では4年に一度しか作品が出版されない「オリンピック作家」と呼ばれているとかいないとか。同じように完結できるのか心配されていた「創竜伝」のシリーズも、昨年末に最終15巻が書店に並んでいるのを発見して感慨深いものがありました…。田中先生、どうにかやり切りましたね。

脱線しました。「アルスラーン戦記」は小説ももちろんですがマンガとアニメにもなっているのでそちらもお勧めです。マンガの作画は「鋼の錬金術師」を描いた荒川弘。間違いないです。こちらは現在14巻まで。ファンタジーは登場人物が多く、キャラクターの把握が難しい時があるのですが、漫画「アルスラーン戦記」はキャラクターの違いがはっきりしていて、とても魅力的に描かれています。特にギーブが大好きです。また、荒川弘の「銀の匙」、こちらの漫画もお勧めです。またまた脱線してしまいましたね。
アニメ「アルスラーン戦記」公式HPhttps://www.arslan.jp/2/

3.世界の描き方が最高にすばらしい!上橋菜穂子の「守り人」&「鹿の王」をぜひ読んでください。

イチオシは闇の守り人

 続いて上橋菜穂子の「守り人」シリーズ。こちらはNHKでアニメ化・ドラマ化されました。全7部10巻完結で、うち2巻は主人公が異なるスピンオフ的な内容ですが、ストーリーとしては本編に組み込まれています。
 女主人公・バルサはひょんなことから新ヨゴ王国の皇子・チャグムの命を救うことになり、それがきっかけで王朝に命を狙われるチャグムの用心棒を任されることになります。ところが守るべき皇子チャグムは精霊に百年に一度産まれるという卵を産みつけられていて…。というストーリー。

この「守り人」シリーズの特徴はその世界観で、シリーズに複数登場する国々のいずれにも綿密な設定があり、歴史・人物だけではなく風習・言語・地理や経済まできっちりとしたリアリティ溢れる世界が描写されています。特に食事のシーンはよだれが…。

 登場する各国はアジア圏の国々をモチーフとしており、西洋的な雰囲気は皆無なのも特徴の一つです。神秘的・宗教的描写もありますが、実にオリエンタルな内容で昨今の西洋的ファンタジーとは大きく一線を画しています。
 また、現実世界と精霊世界(サグ・ナユグ)の交錯するシーンはまさに荘厳の一言。バルサは精霊や神(に近い存在)とも戦いますが、最終巻「天と地の守り人」では大規模会戦が描かれるなど、歴史ファンタジーとしてもじゅうぶん成立する作品です。この最終巻では、バルサが戦争に赴いた愛するタンダの腕を躊躇なく切り落とすシーンが描かれていますが、バルサの今までの人生がここに集約されているように感じられて切なくなります。

 作者の上橋菜穂子は世界的な児童文学者に贈られる「アンデルセン文学賞」を受賞しています。「守り人」シリーズだけでなく、「獣の奏者」や「鹿の王」など良質の作品が数多くありますのでぜひチェックしてみてくださいね。
公式HPhttps://www.kaiseisha.co.jp/special/moribito/

4.小野不由美「十二国記」はいつまで続くのか・・・ずっと続いてほしい。

 さて最後は小野不由美です。現在10部14巻が発売されており、まだ完結には至っておりません。これも時間がかかってるシリーズです。
「十二国記」シリーズの特徴は、前述の2作とは違って、我々が存在する「現在世界」との接点がある「異世界」ファンタジーであることです。

 第1巻の「月の影 影の海」で主人公の中嶋陽子は、現代日本に住む普通の女子高生という設定でした。それが「蝕」と呼ばれる、現実世界と異世界とが一時的につながった期間に、異世界からやってきた魔物に襲われるところから物語は始まります。すったもんだの挙句、異世界へと連れていかれることになるわけですが、その後十二国の世界の国の一つ「慶」で景王となり、国を治め始める波乱万丈のストーリーです。

陽子だけが主人公ではなく、各巻で主人公が異なる年代記のような構成をとっていて、個人的には泰麒のシリーズが好きです、暗いですが。彼も陽子と同じ現代日本(十二国では『蓬莱』と呼ばれる)からやってきた人物で、シリーズ全体の鍵を握る存在です。

2020年待ちに待った最新刊

その証拠に、「十二国記」シリーズの前日譚にあたる「魔性の子」という作品で、この世界における自分という存在に希薄さしか感じられない主人公を描きました。この主人公が壁からぬっと出ている白皙の手に誘われるように異世界へと連れてこられたのが前述の泰麒です。ただし「魔性の子」はファンタジーというよりもホラーなんですよね。


 異世界である十二国の世界は古代中国をモチーフにしていて、天帝が定めた掟によって国と国との間で戦争ができないようになっています。言葉や風習も中国風ではあるものの独特で、馴染むまでに少し時間がかかるかもしれません。また、各国の王は王になると仙人的に不老不死になるんですが、王を選ぶ「麒麟」という人(というかこれも仙人的)の設定が秀逸で、十二国記は麒麟をめぐる話と言っても過言ではありません。公式HP→https://www.shinchosha.co.jp/12kokuki

 好きなものを語りだすと長くなってしまうので、まあこの辺で。以上が私的国産ファンタジーとしてのお勧め3作品です。
あああああ!忘れてました!番外編として、万城目学の「鴨川ホルモー」&「ホルモー六景」も超おすすめ!愉快な日常ファンタジーはあまりにバカバカしくてホントーに笑えます。
機会ありましたらぜひご一読をどうぞ。

 と、ここまで書いていたら、旦那に「栗本薫の『グインサーガ』がなぜ入っておらぬのだ」と指摘されました。グインサーガ…。130巻とか長すぎる…。完結してないし…。

栃木県よろず支援拠点 スタッフ 鳥井