難しくない、身近なICT利活用による業務効率化

1.ICTツールを使った業務効率化にはお金がかかる?

さて、皆さんは「ICT※による業務効率化」という言葉にどんなイメージをお持ちでしょうか?「確かにICTツールをうまく使えば業務効率化はできると思うが、導入にはお金もそれなりにかかるので、自社でやれることは限られているかな……」といった感想を多くの方が抱くかもしれません。

しかし、ちょっと振り返ってみてください。実は、「人と人とのコミュニケーションの効率化」といった観点から見ていくと、どんな企業でもお金をあまりかけずにできるICTを活用した業務効率化の方法が、いろいろとあるのではないでしょうか。

※ICT=インフォメーション・コミュニケーション・テクノロジー、情報通信技術

2.情報伝達手段は変わっていく

 これまでの家族や友人との主な連絡方法の変遷を思い出してください。25年ほど前は、携帯電話を持つ方はごく少数であり、街には公衆電話があふれていました。ところが、2000年頃には人々に携帯電話が次々行き渡り(PHSなんてものもありました)、Windows95の発売以降、人々が次々とインターネットとメールを使い(当時流行したポストペットのメールサービスを使っていた方もいるでしょう)、2008年にFacebookが日本に登場すると今度はSNS時代の幕が上がり、Twitter、LINE、Instagramと次々に新しいサービスが登場しました。さて、皆さんは今、ちょっとした要件は何で連絡をしていますか?些細な内容であれば、SNSで連絡を取っている方が多いのではないでしょうか。

PostPetの歴史・so-netホームページ

 「ICT」という言葉の中には「コミュニケーション(Communication)」という言葉が含まれています。このことからも、情報技術(IT)というものは「伝えること」をどれだけ効率化できるのか、という目標に向かって発展しているものなのかもしれません。そこで今回は、業務の視点から『伝えることをどれだけ効率化できるか』といったことに注目し、中小企業でも使える「難しくない、身近なICTの利活用方法」を3つ紹介します。

3.ICT利活用方法の具体例

インターネット上で「自分専用のデータ保存スペース」として個人データを保存できる「インターネットストレージサービス」というものがあります。このサービスを使うと、インターネットに繋がる環境があれば、どこからでもデータを参照することができます。この環境を上手く利用することで、最新の情報を容易に共有化できます。

Googleドライブ(インターネットストレージ)とGoogleスプレッドシート(クラウド利用型表計算シート)を使った、双方向での情報共有のスピード化

図1

具体的には、GoogleのインターネットストレージサービスであるGoogleドライブと、EXCELシートとほぼ同じレイアウトと操作機能を持つGoogleスプレッドシートの2つのサービスを使うことで、「場所を選ばずにどこからでもEXCELデータを参照・編集・更新できる」といったことが可能になります。
例えば、出先の営業職員がEXCELシートで作成された見積書シートをタブレットから引っ張り出し、Googleスプレッドシートで内容を編集。見積書として完成させて更新させれば、本社事務所ではすぐにその最新の見積書を確認できる、といった「双方向での情報共有のスピード化」が可能になります(図1)。

◆Googleマップの編集による、会社案内情報などのフォローアップ

皆さんの中には、お店探しやカーナビとして「Googleマップ」を使う人も多いと思います。Googleマップ上でキーワードを入れて検索し、必要な情報が確保できたらそこに向かって経路を検索し、ガイドに沿って目的地に向かう、といった一連の機能は、何も店舗でしか使えないものではありません。企業でもGoogleマップに必要な情報とホームページのリンク先を載せておくことで、お客様へのスムーズな企業情報の提供と訪問時の経路案内が可能になり、それは顧客へのサービスの向上に貢献することでしょう。

4.難しくない、身近なICT利活用

このように、皆さんの企業でもちょっとした「身近なICTの利活用」で業務効率化が可能になるところは、まだまだあると思います。このような方法は製造業の「5S」やサービス業の「QC活動」などにも通じる部分があり、中小企業でも比較的取り掛かりやすいものではないでしょうか。皆さんも是非、「難しくない、身近なICT利活用による業務効率化」に取り組んでみてください。自社ではどのようなICTの利活用ができそうか。ご相談の際には、遠慮なく当拠点にお声がけください。

栃木県よろず支援拠点 コーディネーター 高橋英基