見て伝わるデザインへ

栃木県よろず支援拠点 コーディネーター 齋藤 康則

1.はじめに

当拠点のコーディネーター(デザイン担当)となり、これまでに、ロゴマーク、商品パッケージ、ネーミング、キャッチコピー、名刺、チラシ、看板・・・と様々な来訪者とデザインの相談を重ねてきました。そこで感じたことは、すべての相談者のスタートラインが一人一人異なっていること。その要因は、デザインというものがマニュアル化できないことの難しさにあると言えます。相談者の考え方を尊重しながら、どのように進めれば良いか、どのような方向性でデザインしていくべきかを個々の段階に合わせて的確にアドバイスしていくことが、自分の役目であると考えています。

2.何から始めれば良いか分からないという方へ

販促ツールを作りたい想いはあるが、何から始めれば良いか分からない方はたくさんいます。会社名は決まったがロゴマークが考えられない、新しい商品名が思い浮かばない、印象に残る名刺を作りたい、集客につながるチラシを作りたい・・・など、テーマは人それぞれ異なります。

私が最初に心がけていることは、世間話や冗談なども踏まえながら相談者と同じ目線になること、そこから相談者の本音を聞き出すことです。その会話の中から、いくつか出てくるキーワードを卓上の紙に書き留めます。さらにキーワードに矢印や図形、イラストを描き足しながら、視覚的に方向性を確認します。そうすることにより、お互いの目を見ながら会話するよりも、卓上の紙に視線を移すことで、現状どの段階で悩んでいるかを知ることができ、方向性のぶれないアドバイスができると考えています。

       

アドバイスをしている中で嬉しいことが、その場で書き留めた紙に対して「これ、頂いてもいいですか?」という相談者からの言葉です。何から始めれば分からなかった相談者が少しでも前進できたことが実感でき、こちらの励みにも繋がります。

また、アドバイスの中で無理して自らデザインに挑戦することは勧めません。ラーメンが食べたければラーメン屋に行くように、デザインが得意でなければ作れる人に頼むことがベストと考えます。ただ、人に頼む場合でも自分の想いやデザインの方向性、原稿内容は自分自身が決めなければならないので、自ら行う最終的な到達点は制作者に伝わりやすい資料や原稿の準備ができるところまでで良いと考えています。

3.自分でカタチにできる方へ

専門的なソフトを使用しなくてもワードやエクセル、パワーポイントなどを使用し、ある程度のスキルがあれば、カタチにできる時代となってきました。しかし、ソフトは使えるけれどもレイアウト、色、見せ方が決まらないといった相談も多々あります。そもそも「使える」と「作れる」は別問題なのです。そのような方には、全体的な紙面構成、色使い、文字の大きさ、写真やイラスト・画像選択など、より細かいアドバイスを心がけています。

また、ここでも言葉での説明だけではうまく伝えられない場合は、参考までにこのようなレイアウトではどうかという提案をします。その提案方法も、あまりこちらで作りすぎないように注意をし、相談者が作る楽しみを引き出せる程度のアドバイスでとどめています。

デザインのアドバイス例

そこから先は、何度かデザインの確認を繰り返しながら、最終的に「見て伝わるデザイン」となるよう意識しながらアドバイスを行っています。

4.段階に合わせた、やる気を引き出すアドバイスを

デザインはマニュアル化できるものではありません。これからも相談者の良い点を尊重しながら、人それぞれの段階ごとに何が足りないかを見極めて「見て伝わるデザイン」への的確なアドバイスができるように心がけていきたいと考えています。

デザイナー 齋藤 康則